
Outlookをメインのメールソフトとして長く愛用している人は多いでしょう。パソコンを買い替えたときに新しいバージョンのOutlookへメールデータを移行させたり、溜まった過去のメールを整理するためにフォルダ移動をおこなったりするとき、不運にも消えてしまうことがあります。
今回は2つの事例を取り上げ、メールデータ移動で消えてしまったときの対処法と、予防策としてのバックアップの重要性を解説します。
Outlookのメールデータ移行後に消えてしまった事例

Aさんは自宅のパソコンを新調したので、メールデータを移行することにしました。
以前のパソコンでは「Outlook2010」を使っていましたが、新しいパソコンに搭載されているのは「Outlook2019」です。インターネットでやり方を調べ、古いOutlookからpstファイルをエクスポートし、USBメモリを経由してOutlook2019へインポートしました。メールアカウントは移行されないため、あらためて入力し直して移行作業は完了しました。
ところが、新しいパソコンでOutlookを開いてみると、インポートしたはずのメールデータがどこにも表示されていないのです。
「おかしいな・・・」とは思いつつも、そこまでパソコンに詳しくないAさんは自分のやり方にどこかミスがあったのだろうと考え、最初から移行をやり直してみました。しかし、何度やっても結果は同じで受信フォルダに過去のメールは現れません。らちが明かないのでAさんは以前のデータをあきらめ、どうしても必要なときは古いパソコンを起動して見ればいいと自分を納得させました。
Outlookのフォルダを移動させたら消えてしまった事例

Outlookを日常の業務で使用しているBさんは、取引先の担当者ごとにフォルダ分けをしてメールを整理していました。年度が変わり、前年度のものは保存用のフォルダに移動させることにしたのですが、そこでトラブルが発生。受信トレイ内の取引先フォルダの1つを移動しようとして、その保存先を指定したところで突然パソコンがフリーズしてしまったのです。
「応答なし」のメッセージが表示されたまま復帰する様子もないので、しかたなくパソコンの電源を落として再起動してみたところ、Outlookにも保存先にも該当フォルダが見当たりません。
年度が変わったとはいえ、過去のメールを見返すことはよくあります。今後の仕事に支障が出ると思ったBさんは会社のIT管理者に復旧を頼みますが、修復ツールを使用しても消えたフォルダが見つかることはありませんでした。
結果として、取引先の担当者に事情を話し、なくなったメールのうち必要なものを再送してもらって事なきを得ましたが、Bさんのケースは予期しない形でメールが消失した一例といえます。アプリケーションエラー以外にも、メールデータの移動中にメモリエラーやHDDの故障が起きれば同様の現象が起こる可能性が高いのです。
メールデータが消えてしまったときの対処法

Aさんの事例を取って見てみますと、pstデータの移行は正常におこなわれていたのですが、表面上は見えなかっただけである可能性が高いです。その原因は設定にあります。Outlookにはフィルター機能があり、既読メールを表示しない設定にしていると受信トレイに出てきません。この設定があることを知らなければ、「今読んだばかりのメールが消えた!」と慌てる人もいることでしょう。
また、もう一つメールを見えなくする設定として「自動整理機能」があります。これは古いメールを「保存フォルダ」へ自動的に送る機能で、受信から一定期間が過ぎたメールが受信トレイ内では見えなくなります。どちらもメールフォルダを見やすくするのに役立ちますが、自分で設定をしたことを忘れていたり、いつの間にか設定が変わっていたりすると突然メールが消えたように勘違いするので注意が必要です。
Outlookでメールがなくなったときは、まず設定をチェックし、保存フォルダに該当のメールが移動していないか確認してみてください。
もし、自力での復旧に限界を感じたときは、メールデータ復元を専門にする「MELSIC」に相談してみることをおすすめします。


